JavaScriptでJSONをeval

JSON文字列をevalして値を取りたいときに挙動が妙ではまった、という話を聞いたので、Firefox1.5上のFireBugのコンソールで何パターンか試してみた。
{"key":"value"}というJSONデータが文字列で渡ってきて、それをevalしてJavaScriptの値として使いたい、という想定。

間違ったJSON文字列をevalした場合

>>> jsonstr = "{key:\"value\"}"
"{key:"value"}"
>>> var obj = eval(jsonstr)
>>> obj
"value"
>>> typeof(obj)
"string"

JSONのオブジェクトでは、ラベルも""でくくって文字列にしないといけないのだが、まずはそれを忘れた場合を試してみた。結果として返ってくるのは、なんとJSONのハッシュの要素にしたつもりの文字列のみ。

正しいJSON文字列をevalした場合

>>> jsonstr = "{\"key\":\"value\"}"
"{"key":"value"}"
>>> var obj = eval(jsonstr)
invalid label
{"key":"value"}

今度は、keyのほうもちゃんと""でくくってみた。ところが、evalした途端に invalid labelなる謎のエラーがでる。ぱっと見何が起ってるかさっぱりわからない。

代入文をeval

しょうがないので、"obj ="も文字列に含めてevalしてみる

>>> jsonstr = "{\"key\":\"value\"}"
"{"key":"value"}"
>>> eval("obj="+jsonstr)
[object Object]
>>> obj
[object Object]
>>> obj.key
"value"

これはちゃんとObjectが返ってきてるし、ハッシュとしてアクセスもできる。成功。

JSON文字列を"()"でくくる

JSON文字列を()でくくってevalする。これはprototype.jsで使われている手法らしい。

>>> jsonstr = "{\"key\":\"value\"}"
"{"key":"value"}"
>>> obj = eval("("+jsonstr+")")
[object Object]
>>> obj.key
"value"

これも成功。何故か、()でくくるだけで謎のinvalid labelエラーはでなくなる。

謎とき

結論としては、JSON文字列をevalするときは、代入文にするか全体を()でくくってevalしろ、ということになる。では何故最初の二つのケースでは失敗しているのか?特に、"invalid label"ってなにか?
JavaScriptの文法定義(http://www.mozilla-japan.org/js/language/grammar14.html)を見てみるとこの謎が解ける。JavaScript1.5にはラベル文(LabeledStatement)というものがあって、さらにラベル文のラベル部分は"Identifier :"と定義されているので、文字列はここには書けない。
構文やevalの仕様を全部ちゃんと読んでないので、ここから先は推測だけど、最初の二つのケースでは、evalする対象の文字列がJSON(Object Literal)として解釈されずに、Block("{}"でくくった文の集合)の中のラベル文(LabeledStatement)として解釈されているのだろう。
つまり、一番最初のケースでは、{key:...}がラベル文と解釈されて、かつ、key:はラベルとして適正なのでエラーもでない。ラベルと見なされたkey:の後に続く"value"が、このラベル文の値になるので、evalの結果として"value"という文字列だけが返ってくる。二番目のケースでは、{"key":..}がラベル文と解釈されて、かつ"key"がラベルとしては不適正なのでエラーがでる。これが"invalid label"の正体。
三番目では代入文に、四番目では"()"をつけたことによって、{"key":..}がラベル文ではなくJSON(Object Literal)として解釈され、期待通りの動作になる。
まー、prototype.jsみならって"()"つけとけってことかな。ラベル文の使い方については次に続く。

JavaScript1.5のラベル文

http://developer.mozilla.org/ja/docs/Core_JavaScript_1.5_Guide:Loop_Statements:label_Statement
JavaScriptではソース中にラベルを記述しておくことで、breakやcontinueでの脱出時に、脱出範囲を指定できるようだ。知らなかった。
こんな風に使える

function label_test() {
   var i = 0;
   outer:   // ラベルその1
   for (var j = 0;j<10;j++){
     inner: // ラベルその2
     for (var k = 0;k<10;k++){
       i++;
       while(1) {
         break; // break outer; break inner:
       }
     }
   }
   alert(i);
}

10回ずつ回る二重の中でカウンタiをインクリメントして、最後にiの値をalertするコード。何もしないwhileの中でbreakしているだけなので、普通はbreakでwhile文から脱出するだけ。iは100になる。
ところが、"outer:"や"inner:"というふうにラベルを記述しておくと、breakをbreak outerもしくはbreak innerとラベルを指定することで、そのラベルのついた文から脱出することができる。
例えば、break outerと書くと、外側のforループからも脱出するのでiは一回しかインクリメントされず1が表示される。break innerでは内側のforループから脱出するので、10が表示される。

ちなみに、Firefox1.5で動作確認しました。Firefox1.5だとJavaScriptもバージョン1.5なんだな。Firefox1.5にのっかっているのは、JavaScriptバージョン1.6のようです。コメントありがとうございます。

追記:JavaScirptの仕様って規定されてるの?

ところで、(ECMAScriptでなくて)JavaScriptの仕様って誰が決めてるんだろ。Mozilla?
operaとかにのっかっているJavaScriptMozilla(か誰か)の決めた仕様に従っているんだろうか?仕様からして違うんだろうか?それとも、処理系自体も使いまわしてるんだろうか?