復活の地3 小川一水 (ISBN:4150307709)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

50万人もの死者を出した帝都震災。帝都復興も軌道にのりはじめた頃、事故で右腕を失った復興省総裁セイオ・ランカベリーに更なる絶望の知らせが届く…「100日後、帝都は再び震災にみまわれる」。首相サイテンの策謀により復興省が無力化されていくなか、権力を失いつつあるセイオは、それでも震災に立ち向かう意思をみせる。
「天災とは、戦える」
再度の震災に、帝都はそして人々は耐えられるのか?はたして、セイオの意思は通じるのか?

ヤター。
ついに手にいれました完結の第三巻。2、30ページ読みましたが、猛烈におもしろいです。
最後まで読みきるのがもったいないので、一巻から読みなおすことにしました。幸い明日は休みだ。
先が気になってしかたがない小説は、大学の頃に読んだ「未来の二つの顔( asin:4488663052)」以来です。どうでもいいけど、復活の地 3、まだアマゾンにリストされていないので、はまぞうでひっかかりません。はよーデータいれてや。

読了。

えがった。
構成が上手いのかな。読んでいる側が、「もう止めてください。みんなを助けてあげてください」と言いたくなるほどの一巻での被害の描写が強烈で、三巻での人々の動きに素晴しいリアリティを与えてました。確かに、最終的にみんないい人になっちゃったり、サイテンや列強の迫力も尻すぼみだったり、セイオが優秀すぎたり、気にかかるところはないわけじゃないです。予定調和のあおくさい話である、と言ってしまえばそれまでかもしれません。
でも小説なのだもの。いいじゃないか。「精神の血の一滴」*1とはちょっと違うけど、「人間の希望のかけら」を満喫しました。
僕はこの話が大好きです。

いやしかし、小川一水、ちょっと化けた感があるなあ。しっかりした書きこみはできる人で、第六大陸*2にしても、導きの星*3にしても、描写はすごくちゃんとしてるとは思うのに、読みおわっても全体を思いかえすとどうもしっくりこない。なにかぼやけた印象しか残らない、という感想を持ってました。
ところが復活の地では、どすーんとインパクトを与えられてしまいました。意図してたのか、そうでないのかはわからないけど、焦点が『震災』に絞られたのがよかったのかな。結果的に全ての舞台装置(書きこみ)がその一点に集約して素晴しい出来栄えでした。
これからも、こういうの書いてください。お願いします。

*1:しつこいようだが by 冲方丁

*2:asin:415030727X

*3:asin:4894569434