空の中

空の中

空の中

本屋でライトノベル文庫系の本棚をぼーっとあてもなく眺めていたら、唐突にハードカバーの厚い本がぽこんと置いてあって、しかも、あまりに美しい空の装丁だったので手にとってみた。帯には、恩田陸の推薦文(?)もついてたのでちらちらとページをくってみると、いかにもな設定のSFだったので、勢いで購入。

おもしろいよーこれ。
各キャラの設定やセリフまわしなんかはややライトノベル*1でちょっと軽い感じもするけど、基本的な描写はきちっとしてるし、なんといっても空の上が抜群にいい雰囲気。「高度2万メートルあたりに存在する未知の巨大物質!」というSF設定とあいまって、えもいわれぬどきどき感があります。
今、121ページまで読んだのですが、最後から5行目のところでシビレました。鮮かに浮かびあがえるイメージと、かきたてられる好奇心。これが味わえただけでもう満足。

というわけで続き読みます。

12月27日 追記

読了。
そこそこ楽しめた。
上記であれだけ持ち上げている空の上の描写も後半ほとんど出番がなく、結局物語は異生物とのファーストコンタクトと、かなりひねくれた二人の高校生の心情へと収束していっちゃいました。その点はちょっとがっかり*2
まあ、それはそれとして、青春活劇をSF風の味付けで書くのには成功していて、それなりに楽しめました。えらい小さいとこにまとめちゃったな、とは思うが、まとまっていることはまとまってる、てなとこです。
なんだろ、あんまり誉めてない書き方になっちゃいましたが、つまんないわけではないですよ*3。読んでるときはそれなりに「ふむふむ」と楽しみながら読んでるんだけど、ただ、振り返っておもいだしてみると、「あれ?」みたいな。
ああ、なんだこの感想は*4
読んでるときは楽しかったんだよ!おもしろかったんだよ!頼む信じてくれ。

ちらちらと他の感想を眺めてみた

はてな内では絶賛の声が大きくて驚く。他のサイトまで足を延ばしてこういう感想を見つけて、ようやく心の整理をつけることができた。

中高生で読んだら、もうものすごくおもしろくってめちゃめちゃ感動しただろう、と思う。それは自信がある(笑)。なんだかんだ言ってもこの厚さを一気に読ませてしまうその力は並みじゃない。 けど少なくとも今回は、頭の固くなった今のわたしには、ちょっと軽すぎた…。

ああ、僕はライトノベルを普通に評価できる年齢ではないのですね。そうか、そういうことか…。

*1:作者は電撃文庫大賞だかなんだかとった人

*2:あとは、コンタクトするべき対象がちょっと人間臭すぎて、ファーストコンタクトならではのおもしろみがあんましなかったり、ファーストコンタクトを担う大人側の配役(とくにヒロイン?)の造詣があまりにあんまりでちょっとヒいたりもしましたが

*3:これを「つまらない」というと、いわゆるライトノベルの中には誉めるべきものがほとんど無くなっちゃう気がするし。

*4:蛇足的にさらに文句をつけたすと、作中唯一「お、この人いい味だしてるな」とおもったキャラがいたのですが、後書き読んだら実在の人をモデルにしてるとのこと。うーむ。