アフターダーク

アフターダーク

アフターダーク

読了。
いままでの村上春樹の小説と違って、完全な三人称に加えてとても映像的(客観的?)な文章で驚いた。最近はこうなのだろうか。
主人公の視点からしか語られない風景描写とはかなり違う感覚だった。ひとつひとつの物体を注意深く配置していくような描写で、まるで何かの脚本のよう。視点に関しては、作中でも何度も語られていたから、意図的なものだとは思うんだけど、どういう狙いなのかはよくわからなかった。
内容に関しては、おもしろい、ともおもしろくないとも言える微妙な感じ。登場人物のセリフはあいかわらずの村上節で楽しめたけれど。
うーん、新幹線の中でもう一回読みなおすかなあ。

ああ、そうだ。一見、此岸と彼岸に別れている二つの世界が実は自分の足元でいっしょくたになっているかもしれない、という恐怖はQ&Aで感じた恐怖と同質な物だと感じた。そんでもって終盤、姉妹が肌をよせあう場面がその恐怖に打ち勝つものとして、とても心地良く感じられるのでした。
…ちょっと自分側にひきよせすぎた感想やもしれませぬが。

む。海辺のカフカを読むべきだったかな。