富豪刑事

新ドラ。筒井康隆の「富豪刑事*1」をドラマ化したもの。
主役である大富豪でありかつ新米刑事役は、原作では男だったけどドラマでは深田恭子が演じている。番宣だけ見て「素晴しいキャスティングだ!フカキョンお嬢様役ははまり役やろ」と思っていたので楽しみにしていた。
でも木曜9時から、ということをすっかり忘れていたので、すこーんと一回目を見逃したのだが、土曜日(1/15)に番宣として一回目のダイジェストをやってたのでそれを見た。
結果……微妙。
原作はあんなにあほな話ではない!!!
なんだか、主役のお嬢様の頭の回転の良さが全くなくなってる気がする。一体だれのせいなのだ。原作では、毎回毎回おぼっちゃまが一見とんでもない解決策を言いだして、多大な金を投資しちゃうのだが、それが実はうまくいって、あげくに投資した金を回収する以上の儲けを見せてしまったり、ところどころキラリン☆と知性が光っていた(ような記憶がある)。今回のダイジェストを見る限りでは、お嬢様に知性の輝きが感じられなくて、世間知らずのお嬢様が言いだしたことが「たまたまうまくいっちゃいました」ようにしか見えなかった。原作もそんなんだっけ?
深田恭子なら、キラリン☆を演じることもできるんじゃないかと期待していたのだけどなあ。

ドラマでは深田恭子の「バカお嬢様っぷり」ばかりがフォーカスされてお嬢様の推理への信頼性が損われてる。確かに、原作のおぼっちゃまも一般常識とはかけはなれた発想のプランを提示するわけだが、それは勝手な思いつきなんかではなくて、実は筋の通ったまっとうなもの。ただ実行するには馬鹿馬鹿しい金がかかるだけの話。原作では「大富豪」という立場で、それを実行に移すところで馬鹿馬鹿しさを描くとともに、しっかりプランを成功させることでアイデアがまっとうであることもきちんと描いていた。
でもドラマではプランを実行するところまでは同じものの、お嬢様のつめが非常にあまいために、結局事件を解決に導くのは秘書だったり脇の刑事だったりという形になってしまっている。「やっぱお嬢様、ぬけてるじゃん」てなことになって、アントワネットとか呼ばれてしまうわけだ。刑事に助けられた上に「奇跡かしら」なんて言ってちゃ駄目だよ!原作のおぼっちゃまは一人でちゃんとできる子だったのに!

おぼっちゃんからお嬢様に役割を変更したのは非常にいいと思うんだけど、ドラマ製作者が筒井康隆ではなかったために、原作の主人公にはない、ありきたりな「お嬢様」イメージをなんの考えもなく組みこんじゃったのかなあ。すごく残念だ。