みずみずしい 精神の血の一滴! (マルドゥック・スクランブル)

えらいおもしろいです。
全三巻のうち、二冊目から三冊目までのカジノシーンばかり評判になるようですが、その他だってスゴイです。
娼婦として耐えることのみを強いられてきた少女バロット。彼女が死の間際に発っした「死にたくない。まだ生きたい」という思いが、「殺されるのは何故自分だったのか?」という問いをへて、「自分の価値」を自分の手でつかみとっていく行為に昇華していく様はお見事。
がちゃがちゃした銃撃戦や、カジノの心理戦も面白いけれど、本当に素晴しいのはその根底に流れる彼女の戦いそのものであり、戦いで流れる精神の血の一滴なのです。
ジャンルとしては真っ当なSFなので、ガジェットに拒否反応を示す人はいるかもしれないけど、是非多くの人に読んでもらいたい作品です。はい。