ローマ人の物語 17〜20

ローマ人の物語 (17) 悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (17) 悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (18) 悪名高き皇帝たち(2) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (18) 悪名高き皇帝たち(2) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (19) 悪名高き皇帝たち(3) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (19) 悪名高き皇帝たち(3) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (20) 悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (20) 悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)

読了。アウグストゥス亡き後の4代の皇帝のお話。普通は「悪名高い」皇帝たちだが、そんなでもないんじゃないの?というところを人間性にせまりつつ紹介、というところでしょうか。

塩野七生は文章が上手くない。前から薄々は感じてはいたが、今回のこの四冊で確信した。同じ文章が忘れないうちに何回も登場したり、また、説得力のない「私ならばそうする」や「と確信する」が連発される、構成にも変なところがある。さらには、句読点が不自然だったり、文章そのものの構成が不自然な順番だったり、私でもなおすと思うような文章技術的におかしな箇所まで見受けられる。
ハンニバルスキピオ、それにカエサルアウグストゥスといった、おおむね文句のつけようがない人の描写をしている時は、それでもまだ良い。気持ち良く褒め煽る文章が続くので、読んでいる側も気分が良く、多少文章が変でも気にしないでいられるのだ。しかし、今回のような微妙な人物のときは、文章自体がどうしても気になってしまう。特にこの4冊については、それが顕著で、最愛のカエサルと素晴しい跡継ぎだったアウグストゥスを書き終わって、さすがの塩野さんも執筆に気が乗らなかったのですね、と苦笑するしかない。
ハンニバルスキピオカエサルアウグストゥス達が登場する部分だけを、設定が細かく練られた上質のファンタジー、として読むのが、私にとっての正しい「ローマ人の物語」の読み方なのかもしれない。