天涯の砦

天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

「復活の地」の小川一水の新刊がようやく出ていたので買って読んだよ。
近未来、地球軌道上に建設されたホテルやショッピングモールも含んだ軌道ステーションが舞台。観光客や月への移動客を満載したステーションが事故によって崩壊し、わずかに生き残った人達も、ずたずたに分断された気密区域や接舷していた宇宙船内の密室に取り残される。そしてステーション(の残骸)は事故の影響を受けて地球へと落下していくのであった。壁の向こうは真空。ぎりぎりで残った空調設備(ダクト)で繋がれた人達が、連絡を取りあって絶望的な状況から生きのびようとするサバイバル小説。
前半はすごく怖い。子供なんかもまじってるもんだから、生々しい恐怖がつたわってくる。その上、どんどん事態は悪化していって読んでるのがつらいくらい。おもしろかった。ただ後半から終盤にかけては、ちょっとだけ突飛なSF設定が顔を覗かせたりしてなんとなく焦点がぼやけてしまうような。
おもしろいことはおもしろかったんだけど、まだ「復活の地」のほうが好みだなあ。