僕たちの終末

僕たちの終末 (ハルキ文庫)

僕たちの終末 (ハルキ文庫)

読んでもうた。劇場版「デビルマン」や「Ruby-DB ウェブデザイン」級。
ニセ科学を観察している気分になった。
宇宙船をつくる話なので、それなりな用語が繰り出されることは繰り出されるんだけど、肝心なそれらの具体化の部分が御都合主義的な妄想でつながれていって、山積する問題があたかも解決したかのようにごまかされながらいつの間にか我侭ニートな主人公の思いどおりに宇宙船が完成して、AIとの問答のあげくハッピーエンド。

「コンパスとプログラム」

最近、新しいコンパスを買った。

きれいな円を描く奴、ではなく方位磁石。道に迷ったときのため、じゃなくて自作のプログラムのデバッグ用。

Junkyard Review

GoogleSatTrack夢の場所への切符を手にいれた柏井さんの、プログラミングに関するすごくいい文章。僕がいままで読んできたプログラミング関連の話の中で一番素晴しい。プログラミングの喜びと感動が全てここに書いてある。

Tech talk: Gauche Scheme

http://youtube.com/watch?v=WEBOdWyGE3E
sumimさんのところ(http://d.hatena.ne.jp/sumim/20080522/p1)より。

shiroさんがGoogleGaucheについて話している動画をみた。
Gauche バイトコードへのコンパイラ自身がGaucheで書かれてるのはやっぱりおもしろいなあ。型推論の話もそうだけど、途中や最後のほうで嬉々として話している最適化のアイデアのことごとくが「〜(してやる|の情報がある)とそこを最適化するGaucheのマクロがいれられるんで」という言葉で締め括られてるのが格好よすぎます。

Ianのやつ」も一回ちゃんと調べるか。

プログラミングの思い出

http://www.kmonos.net/wlog/84.html#_1054080427 とか
http://d.hatena.ne.jp/haru-s/20080217 を見てなんとなく思いだしたことを書きとめておく。

コンピュータとの出会い

人生で最初にふれたプログラマブルなコンピュータは、カシオのポケットコンピューター。たぶんこれ。
http://www.pocketmuseum.com/images/seiko/mc-2200.jpg
http://www.pocketmuseum.com/images/seiko/mp-220.jpg
ってカシオじゃないやSEIKOだ。そうだSEIKOだ。MC-2200。感熱プリンタとマイクロテープドライブが一体化した拡張デバイスがついてて、プリンタやテープを使うには電卓みたいな本体を土台みたいになってるそのデバイスにがちゃっと埋めこんで使う。
本体には見てのとおりたった一行分の、しかもアルファベットしか表示できない画面しかないわけだが、もぐらたたきとか、迷路探索ゲームとか、スタートレックゲームとかが付属していていろいろ遊べた。スタートレックはなんといちいち画面*1をプリンタに打ちだして遊ぶようになってた。
付属っていってるのはおまけのマイクロテープにはいってるので、いちいちピーピーガーガーいわせながらプログラムをロードしないといけない。たしかでかいゲーム(スタートレックとか)はロードだけで五分くらいかかったと思う。
あ、いや違ったかも。入門用のテキストにゲームプログラムが載っていて、それを打ちこんでテープに保存してたのかも。がんばって巨大なプログラム打ちこんだのにテープへの保存に失敗していて全部パァになったという経験もあります。でも電源切っただけではメモリはクリアされなかったんじゃないかな*2。自分でプログラム作ってる時はいちいち途中で保存しなくてもよかったので便利だったような。
テープに保存する時にも便利なインターフェイスなんてものはない。普通のラジカセについてるような再生や録音や巻き戻しや早送りボタンがついてる。このへんの操作は手動。つまり、保存するときは録音ボタン押しこんでから本体にCSAVE命令を発行しないといけないし、読みこむ時は本体のCLOAD命令を発行してから再生ボタンを押しこまないといけない。あ、よくみるとテープドライブの近くに「REMOTE」って書いたオンオフスイッチがあるな。LOADする時は同期して再生してくれる機能はあったかもしんない。
複数をプログラムを一本のテープに保存することもできるんだけど、それぞれのプログラムをどこからに録音したのかは自分で覚えとく必要がある。どうやって覚えとくかというと、テープを巻き戻した状態でテープカウンタを0にしておいて録音開始したカウンタの値をメモっておくわけだ。当然上書きしてしまうとアウトなので、必然的に終了場所もメモっておかないといけない。
いやー書いてて、今の技術とのあまりの落差に驚きますね。

最初のプログラミングの思い出

このポケコンの持ち主は親戚の叔父さんで、当時(小学生低学年くらいか)はよく遊びにいっていたので、その時にいじっていた。とはいえ、最初はプログラミングの意味をさっぱりわかってなかった。断片的にこんな話を覚えている。
僕はよくこのポケコンの「もぐらたたきゲーム」で遊んでいた。このもぐらたたきゲームは、もぐらがあちこちに顔を出すようなゲームじゃなくて、単にアルファベット一文字が画面に表示されるだけ。1〜2秒くらいの制限時間内にそのアルファベットのキーを押せれば叩いたことになるわけだ。それを15回繰り返すと叩いた数だけが点数になって終了。15点満点。最後に得点に応じたメッセージがでる。2点くらいしかとれないと「ZENZEN DAME」とか、15点満点とれると「ANATAHA TENSAI DESU!!」とか。日本語は表示されないから全部ローマ字。今思えばなんの工夫もないつまらないゲームだけど、当時の僕は何点だとどのメッセージがでるのか全部暗記するくらい遊んだ。
夏休みのある日、叔父さんのところに遊びにきていた従兄弟達とみんなでこのゲームをやってた。得点ごとのメッセージを覚えている僕は、メッセージが表示される前に何が表示されるかを言い当てることができた。従兄弟連中に「すごいすごい」言われて、調子にのった僕は、このゲームに一番詳しいのは自分だ、すごいだろ、というノリで叔父さんにまで「何点でどのメッセージがでるかわかるよ!!3点までだとこれで〜」とか説明しだした。叔父さんは笑いながら「ああ、そりゃ俺もわかるよ。だって全部俺が打ちこんだんだもん」と答えた。

最初は意味がわからなくて軽くショックだった。「ゲームの動作は全てプログラムとして記述されていて、それを書いた人はゲーム中に何をどうするとどこがどうなるのかを完全に知っている」ということが全くわかってなかったから。このゲームのことは自分が一番よく知っているとばかり思っていた。ところが、今まで自分ががんばって遊んでいたゲームの全てを叔父さんはもう既に知っている。順序としては逆で、叔父さんがBASICで打ちこんだものだけがポケコン上で動作している。それがつまりプログラミングだ。プログラミングすげえ。

今にして思えば、あの時の叔父さんの言葉が、プログラミングとゲームの関係の理解の第一歩だったし、僕の中の大きなターニングポイントだったんだろう。この言葉でなんとなく仕組みを理解した僕はプログラミングをはじめた。
最初にやったのは、もぐらたたきゲームで最後に表示されるメッセージを書きかえたり、制限時間を変更することだったかな。その後もいろいろ作ってみたりした。かけ算の筆算を解いてくれるプログラムとかも作った。電卓だとかけ算の計算結果しかわからないけど、計算途中も含んだ筆算全体の形をプリントアウトしてくれるやつ。計算ドリルが大嫌いだったんです。結局数式入力してプリントアウトさせるより自分で解いたほうがはやかったので、ほとんど使わなかったけど。後期(1、2年後だったかもしれない)には結構な時間かけて入門テキストにのってた迷路探索ゲームの概要をなんとなーく理解した。2次元配列という概念はここらへんで学んだはず。

そんな感じで僕の中でのポケコンの時代は終了。次にプログラマブルなコンピュータと再会するのは、中学の友達の家にあったMSXだったわけだけど、これはまた別の機会に書くかも書かないかも。

*1:9x9くらいのフィールドを表現するマトリックス

*2:ちょっと後になってパソコンの入門漫画を読んだ時に、電源切ると全部消えちゃうので注意とか書いてあって驚いた記憶がある

コンフィダント・絆

http://www.parco-play.com/web/play/les/
三谷幸喜の演劇DVDを見た。「コンフィダント・絆」という2007年春に上演されたもの。
ゴッホゴーギャン、スーラ、シュフネッケルという画家達と、ルイーズという一人のモデル、あわせて5人がひとつのアトリエで繰り広げるお話。
頼まれたついでに自分もDVDを買ってみたので、先入観なく見たのもよかったのかもしれないが、いままで見た三谷幸喜作品の中で一番おもしろかった。笑いはいつも通り適度にまぶされているし、なにより終盤の破壊力がすごすぎる。一回見て笑い泣き、さらにコメンタリー聞きながら見た二回目でも泣き笑い。

堀内敬子という人もすごいですね。劇団四季の時代は全く知らないんだけど、「有頂天ホテル」ではじめて見た時には若いバイトにしか見えず、「12人の優しい日本人」では普通のおばさんにしか見えなかった。
その二つのギャップのすごさが気になっていたのも「コンフィダント」を買ってみた理由だったんだけど、やっぱりよかった。天真爛漫な若いモデルと、老婆の二つが見事に演じられわけていて、歌もすばらしい。さらに出演者インタビューだとこれがまた全然違う顔にみえる。まさに"憑依型"。ファンになってしまいました。

というわけで、いろいろ満喫して満足。