「復活の地1」 小川一水 (ISBN:415030761X)

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)
実は、それなりに前に読んでいたのだが、「2」を読んだのであわせてアップ。
未曾有の大地震で首都機能と政府首脳をねこそぎ失った帝国が、復活する様子を描く異世界の災害シミュレーション小説。
関東大震災+関西淡路大震災+復旧プロジェクトXを未来の異世界で展開する傑作。

  • 冷静な描写でこれでもか!と積みあげられていく、悲惨極まりない大地震の被害、二次災害
  • 次々と死んでいく人々
  • 生きのこってもなお悲嘆に暮れながら自分の身を守ることで精一杯な人々
  • ほとんど機能していない災害救助のシステム
  • 非常時を利用して権力を得ようとする生きのこった(政府寄りの)人間の画策
  • 状況も人間関係も混沌としたまま、なんとか秩序を回復させようと奔走する主人公

いやー、よくできてます。読んでるときは自然にすっと読めるんだけど、よく考えるといろいろな状況が複雑にからみあって「大災害とその中の人々」を演出しています。構成にはよっぽど時間かけたんじゃないかなあ。