煙か土か食い物
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- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/12/14
- メディア: 文庫
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帯には「圧倒的文圧を体験せよ!」などとぎょうぎょうしい文句がのっかっている。「文圧」ってなんじゃろ、と思ってページをめくったてみたら、わかりました。文圧がわかりました!改行がないのです。密度が高いのです。ページにみっちりと文字が詰まっているのです。
正直、あちゃーと思いましたね。こんな小手先の細工を「文圧」などと…。やはり、メフィスト賞は地雷だ…と思いつつ新幹線の時間待ちをするためにはいったマクドナルドで読みはじめてみたら、、
これ、傑作ですわ。これ傑作です。2回言ってみた。
まだ、182ページまでしか読んでないんだけど(最近こんなんばっかだな)、これはおもしろいです。
一人称で進む物語の中で、主人公の思考の部分が改行なしで密度高く書かれてるんだけど、文章のテンポが抜群にいい。素晴しいイマジネーションをつづった文章が上手い具合に並んでいるので、流れるようにページが進みます。これにはびっくり。改行がないことは全く気にならずに自然に読めます。
この作者にとって、改行がないことは目的ではなくて、描写の一手段なのですね*1。情景を描写するところなんかでは、間を表現するために効果的に改行が使われているし、連続した文章そのもので読者の読み方を制御しているのだと思います。西尾維新が韻をふんだ単語の羅列でテンポをコントロールしているように、この人は文章のつながりそのものでテンポをコントロールしている。素晴しい。
その技法でなにが語られるかというと、残酷な暴力をベースに、抑圧された主人公の想いと、主人公の家族(兄弟)の凄惨な過去。なんだかちょっと純文学の香りもただよったりして、その魂の叫びには感動すら覚えます。いやもう、ぐいぐいひきこまれますわ。こりゃ確かに文圧だ。