蒼穹のファフナー

蒼穹のファフナー (電撃文庫)

蒼穹のファフナー (電撃文庫)

読了。
アニメ版「蒼穹のファフナー」の構成にかかわった冲方丁の手によるノベライズ。ノベライズというより、これはアニメで語られた話の断面を再構成したものなんだろうな、と想像。アニメのほうはさっぱり見てないんだけど、小説は傑作!という評判をちらほら目にするので読んでみた。
内容は、恐らくシリーズ初期の少年少女達が戦争に巻きこまれていくあたりを中心に描かれている。構成としては、半年ほど戦闘をこなしていろいろ変わってしまった環境の中で主人公が過去を回想するというもの。居なくなってしまった友達、変わってしまった友達、変われずに苦しむ友達、そして自分。
明らかに「おはなし」としては中途半端なのに、物語としては完全に完結しています。これは御見事。戦わざるを得ない主人公の内面が切ないほど鋭く切り出されているので、全く語られていない部分までが鮮やかに想像できそうです。ファフナーでの戦闘もわずか2回しか描かれていないのに、スキップされている期間や、それ以前の生活とか、全く語られていないところまでが浮かんでくる。特に、この戦いがいつ終わるのか、はたして本当に終わることがあるのかという絶望感と、その中であえぐ主人公達が非常に生っぽいです。ウブカタスゲェヨ。
この話だけ読むと、ファフナーめちゃくちゃ傑作な予感がするんだけど、なんでアニメはあんなに評判悪いんですか。

ちろっと他のはてなダイアリ読んだ後に追記

この小説版には続編はありえないでしょう。ここで止めることで、戦争状態に異常な設定で放りこまれた少年少女達の目線と読者の目線を一致させてあるんじゃないかな。登場人物絞って、内面を掘りさげる構成になってるのもそのためだと思います。
つーか続編でたら怒る。