無題

スプラッタ映画の嫌いな人は、これ以上読んではいけません。



とある場所のとある眠らない街。深夜。
友達数人と、飲みあるいていた私は、しだいに周囲の様子がおかしいことに気がつきはじめる。道の端でうずくまる人の数がやけに多い。最初はホームレスが増えたのかな、くらいに思っていたが、よくよく見るとそうではないようだ。きちんとスーツを着ているサラリーマンやOLの姿もまじっている。
違和感を感じながらも、二軒三軒とはしごしていると、ふとしたきっかけで、うずくまる人の中に警官の制服を着ている人がいるのを発見する。朦朧とした頭で近づく私。警官は、体中から血を流して死んでいた。
そして周囲を改めて見回してようやく事態を把握する。ホームレス、よっぱらいのサラリーマン、つぶれたOL…、道端にうずくまる人達はみな剃刀で無数に切りつけられて死んでいるのだ。友達たち、そして街の他の人間たちも異常に気がつきはじめ、一斉にその街から逃げようとするのだが、どこへいっても、私の周囲は似たような死体ばかり。そしてその数が加速度的に増えていく。犯人の姿が無いまま、ただただ死体だけが増えていく異様な状況のなかで、いっしょに飲みあるいていた友達が一人、また一人と血溜まりの中の死体と化す。
そして、慌てふためく私の周囲に生きた人影がいなくなった時、一番の親友が剃刀をとりだしながらニヤリと私に笑いかける…

(欠落)

なんとか私は生きのびた。どうやって生きのびたのかは全く覚えていない。そして、親友はすでにこの世にいない。
事件から数日が過ぎた。「真夏の夜の猟奇的な連続惨殺事件」、この夜の事件はそう報道された。被害者は40〜44人。被害者の人数がはっきりしないのは、あの夜何が起こったのか、ちゃんと把握している人間が一人も生き残っていないからだ。
容疑者が既に死亡しており、生存者や目撃者から得られる情報も乏しい上に矛盾をいっぱい含んでいる。幾度となく事件の再構成は試みられたものの、結局「異常者(私の親友)が剃刀で無差別に人を切り刻み続けた」という以上の事実は明らかにはなっていなかった。あの夜死んだ人を全て彼一人で殺すのはいくらなんでも無理だったにもかかわらず。
そのような「謎」を含んだ都心部での猟奇殺人だったせいか、メディアは連日狂った報道を続けていく。一番狂ったテレビ局は、「徹底解明!」とかなんとかいいだして、あの夜を自分たちの手で解明するバラエティ生番組の放送をはじめた。よりによって私の関係するテレビ局だ。
若手芸人を多数夜の街に配置し、被害者の死亡時刻にあわせて、判明している惨劇の場所から生中継。スタジオでは、中継を使ってちょっとした恐怖感をあおりながら、無責任な仮説をばんばん流していく。嫌々ながらも関係者として、その番組に関わる私。ちょっとしたお祭り気分なのか、数カ所の中継場所にも大勢の人が集まっている。番組も中盤にさしかかり、この盛りあがりなら番組は大成功かと思われた、そのとき。
生中継のカメラの一つが、血まみれになった男を映しだした。あの夜と同じだ。惨劇の夜が再びはじまる。あの夜とひとつだけ違うのは、そのカメラが「犯人」をしっかり捉えていたこと。血まみれの男に容赦なく剃刀をふるい続けるのは、小学生くらいの少年だった。

(欠落)

犯人グループの小学生達に捕まってしまった私。犯人達はある隠れ家にこもり、完全に警察やテレビ局の人間の行動を把握した上で、その死角となる場所で次々と人を刻んでいく。
何故か、突然、犯人たちが仲間割れをおこし、うち一人が残りの犯人にとりかこまれる。死のリンチがはじまる。剃刀を使ったリンチは少年が死ぬまで続けられ、拘束された私はその惨状を見ることを強要された。最後まで。


と、いう悪夢をみてさっき飛び起きました。なんだこれ。起きた瞬間は、前半の「真夏の夜の猟奇的な連続惨殺事件」の部分は、実際にあった事件、あるいは実際に読んだ本の内容だと思ってたんだけど、そんなわけないと気がついたので、そこも含めて忘れないようにメモ。
夢の中で断片的に覚えているイメージを一応筋がとおるように再構成してみたのでオリジナルから離れちゃってる部分も多い。体験した雰囲気では、バトルロワイヤルに心霊的なホラーの風味をふりかけた感じでした。これでホラー一本書けんかな。
以下、修正したところ。

  • 前半部分はイメージを元に、今かなりでっちあげた。
  • 後半の惨劇が繰り返される舞台は、同じ場所じゃなくて巨大なテレビ局の中だった。
  • 小学生の犯人の中に一人だけおっさん(古田新太)がまじってた。リンチをあおる役で、めちゃめちゃ怖かった。

おっさんが古田新太だったのは、はるか17を見た影響か。