ミステリ強化月間 セリヌンティウスの船/水の迷宮

この間の某所で行われた某イベントで、すこしミステリ心が刺激されたので、話題になっていた石持浅海の本を読んでみた。

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)

水の迷宮 (カッパノベルス)

水の迷宮 (カッパノベルス)

二冊読んでみて、綺麗というか印象的というかそういう描写をするのが上手い人だと感じた。セリヌンティウスの船の遭難シーンや、水の迷宮の水族館はとてもよい。全編を通しては、描写以外にロジカルな部分もちゃんとしてるし、プロットもちゃんと構成されている。抜群の安定感。二冊とも安心して面白く読んだ。
なんだか全体的に東野圭吾を思わせる人だなあ。構成のそつの無さとロジカルな部分は、加賀がでてくるあたりの初期の東野圭吾を思わせるし、「人間の感情」というのがかなり重要なファクターとして話に関わってくるのは、後期というか最近の(「秘密」以降の)東野圭吾を思いださせる。
でも残念ながらそれぞれの面が小粒に感じられて、インパクトに欠ける。つまらなくはないんだけど、とびぬけて傑作というほどじゃないよなあ、みたいな。この人の作品で一番インパクトがあるのはどれなんですかね。それとも、そういうのを求めて読んじゃいけない作家なのかな。