4000億の星の群れ

4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)

4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)

読了。
作家の特性と訳者の特性がうまく組みあわさって全てを台無しにしているような気がする。
SFのキモであるところの説明がすごくあっさりしている。短すぎ。意味が取れなくはなかったけど、学術書読んでるんじゃないんだから、もうちょっとキッチリもりあげてもらわないと。センスオブワンダーはどこへいったんだ。たぶん、演出が嫌いで、物事をシンプルに説明するのが好きなタイプの作者なんだろな。結局、何箇所かだけやけにハードなSFであとはうだうだ心理描写がつづくかなり歪んだSFになってる。
さらにいただけないのは、描写にほとんどインパクトがないところ。普通の言葉を使って普通の文章になっているので、ぱっと目をひかれることがない。すーっと流れてしまう。で、気がついたら文脈が把握できなくなっている。たぶん、原文の文章をできるだけストレートに素朴に訳すのが好きなタイプの訳者なんだろうな。もちょっと日本語にあわせて文章組んでくれてもいいと思うけど。一単語読み落とすと途端に話が終えなくなるのはなんとかして欲しい。場面展開も極力シンプルに描写する作家と、それをそのまま素朴に訳す訳者の組みあわせではこうならざるを得ない気はするけど。
とはいえ、一応最後まで読んだのは、設定から漂ってくる雰囲気が結構好みだったから。「未知との遭遇」には惹かれます。結局、最後までその雰囲気に酔えはしなかったけど。原文のままで読んだら味わいがあるのだろうか。
今後、この作者とこの訳者の本は敬遠しちゃうかも。それくらいつまんなかった。

はてな内の感想を読んでみた。

サバイバルシーンを楽しむべきなのか。そんなに面白いか?あそこ。で、これ三部作の1作目なんですね。あと二冊は絶対買いません。おっと「脆弱」ってやっぱり「ぜいじゃく」としか読まないよな。おもいっきり「きじゃく」ってルビふってあったよ。そう読む文脈も有り得るのかと思ってしまった。なんだこの本。罠?
この本を生贄にして絶版本を一冊復活させてください。お願いします。