使命と魂のリミット
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12/06
- メディア: 単行本
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話の構成は都合がよすぎるものの、過酷な運命に「使命」をもって向きあう人間の姿が描かれていて、とても綺麗なラストシーンに着地する。淡々と丁寧に描写を積みあげていく感じの東野圭吾の文体は、病院を舞台に理性的な人しかでてこないこの話の雰囲気にはぴったり。主人公の夕紀も「すっぴんでも美人」だし、映画化したら「綺麗な佳作」としてうまくおさまるんじゃないでしょうか。
だたこう全体的にちょっと軽め。この話では「使命」なんて言葉が連発されていて、人間のどろどろした感情はあまり掘り下げられてない。「使命」の描きかたは綺麗で上手いんだけども強烈な印象が残らないんだよなあ。もうすこし長くして、人間のどろどろ感も出したほうがより「使命」も際だったんではないでしょうか。構造としては、白夜行や幻夜と対になる話な気がするんだけど、匹敵するほどの迫力はない。全然ない。
これは文庫でさくっと読んで(あるいはさくっと映画を見て)「おもしろかった!」というのにぴったりかな。まだハードカバーしかでてないけど。