スペースプローブ

酷い本だった。冒頭から宇宙にでるまでの半ばくらいまではおもしろかったのが余計タチ悪い。

これは日本で宇宙開発に携わる人達を馬鹿にしすぎなんじゃないか? ひとりよがりファンタジーを書きたいならそれなりの舞台を選ぶべき。日本初の月着陸を目指す宇宙飛行士、っていうシリアスな状況を設定しちゃだめでしょう。

ファーストコンタクトSFなのに相手が人間を認識してない可能性に最後のほうまで気がつかない、っていうのは目をつぶるとしても、キャリアを積みあげてきて厳しい選抜をくぐり抜けてきたはずの宇宙飛行士達が中学生みたいな甘いことしか考えてなくて全然覚悟が足りないし、(自業自得とはいえ)あわや帰還不能という極限状態の宇宙飛行士達に対して、管制官が安全な地上から「君等が悪い。帰還する方法は自分達で考えろ」とか言い放っちゃうし、あげくの果てには日本の組織は頭が硬くてなにもしてくれないけどNASAに頼んだらあっさり助かっちゃう、という超展開。

宇宙をなめるな、としか言いようがない。

「冷たい方程式」ってのは助けに行く気がないから「冷たい」んじゃなくて、どんなに助けたいと叫んでも、どんなコストも省みずどんな手段を使って助けようとしても、それでも物理法則の壁にはばまれて絶対に助けられない、そんな法則そのものが「冷たい」んだけどなあ。