「ゲームの名は誘拐」 東野圭吾 (ISBN:4334923755)

ゲームの名は誘拐
帰省したときに名古屋の書店でみかけて「これは買わねば」と思ったものの,出先であることや仕事に追われまくっていたこともあり棚上げしていた一冊。
誘拐事件を誘拐犯がわからのみ描いたミステリ。そこにはそれなりの仕組みがしかけてあってただの誘拐ではおわらない。全編を通してスピード感があり、するする読めた。
途中のしかけも効いているし、出来は素晴らしくよいとは思う。読んでいる間は非常に面白かった*1
ただ、読み終わってみるとなにか物足りない。構成もよくまとめられていたし、細工もりゅうりゅうだし,読んでいておもしろいのだからそれでいいじゃないか、とも思えるのだが,物足りない。
例えば、同じ作者の「天空の蜂」のラストの犯人のセリフはまだ僕の心に残っているし、同じ誘拐物の「99%の誘拐」でのラストシーンなんかもおぼろげに残っている。でも、この作品だとそういう残る部分がほとんどないような、そんな感じ。
やはり全体が「ゲーム」に終始しちゃったからかなあ。
それとも僕がたんに歳をくっただけなのか?

*1:終盤は、草薙くんのドラマ「僕の生きる道」を見ながら読んでいたのだが、テレビをみては涙をながし、本を読んでははらはらし、と贅沢なひとときであった